アライアンス・アライブ 感想11

~君が見ていた空を~

39章~終章

※ラスボス戦前後の遠回しなネタバレがあります。

39章

とうとう、魔界はエリア18へやって参りました。
シキとマチルダとロビンスの足音について語るのを忘れていたので、ここで無理やり挟み込んでみます。

シキの足音も、バルバローザのように身のこなしに無駄がなさそうですね。さすが剣聖。
ガリルよりも重めで、ジーンよりも軽めのきぬの音が混ざります。羽織っている長い上着の音でしょうね。

マチルダの足音は少し硬め。ハイヒールを履いていますからね。
ばさっ、という音が混ざるのですが、これも背中にあるマントらしき物のきぬの音でしょうか。あと小さな金属音も混ざっているように聴こえます。腕や肩の鎧の音でしょうか?

ロビンスの足音は、軽快ですね。雪の上だと、キュッと雪の鳴るような音が混ざります。ティギーの足音にもキュッという音が混ざりますが、ロビンスのほうが少し高め。水魔の巣窟や、(閉鎖美術館や魔界にある)光の階段を走ると、更に高くなってかわいいです。

さて、エリア18の上層部へ向かいます。
モブ敵の水魔が強く、おまけに頭数も多いので、連戦で何度もゲームオーバーに。
ティギーの《印術風砲》の固有技・《アンチプロテウス(水魔特攻)》に助けられ、何とか上層部へたどりつきます。

目的の場所は、不安になるほど静かです。やたらと響く足音に緊張感をあおられながら奥へ進むと、待っていたのは……あの武神。

彼とは最終決戦で共闘できるかな、などと妄想していました。
ですが、あくまでも彼はガリルたちの前に敵として立ち塞がります。

理解しあえていない、と思えて悲しいのも事実ですが、彼と戦えることに胸が躍ってしまう自分もいて。

戦列に立つのは、ガリル、アーシュラ、レンツォ、バルバローザ、ティギー。

武神の戦い方が以前とは少し違ったように感じました。
挨拶のように使っていた《将魔の誓約》を使ってこなかったのです。

もしかして、既に評議会の将を解任されたから、という理由で、あえてあの技を封印したのでしょうか?
あの技が、彼が以前背負っていた将としての役目を象徴するものだとしたら、一応説明はつきますが……。

だからといって、使って何か問題があるとも思えません。
そもそも解任したのは、断罪されるべき悪。
まず義理立てする必要は無いはず。

それでも、「秩序を守る者の姿勢として、今はあの技は使わないほうがふさわしい」と判断して封印したのだとしたら。
……とても彼らしいな、と。
今になってみれば思います。

戦った後の彼の行動が、余力を残していたと想像できるものだったこともあり、私は手心を加えられたのだと感じました。半端な相手や強いだけの相手でしたら、「なめるな、本気で来い!」といらだつところ。
しかし、武神に対しては、いらだちを覚えることも怒りが湧くこともありませんでした。
手心を加えた理由も、決して侮辱ではなく、本音ではガリルたちのことを理解していたからこそ、なのでしょう。
何より、立場が変わろうとも、見えているものが変わろうとも、自分は罪を犯そうとも、どこまでもブレずに秩序を守ろうとする姿が、あまりに高潔だと思えたから。

最後の最後まで、すっきり勝った気にはなりませんでしたが、彼と戦えたことを光栄に思います。
「勝った気になる」以上に心を満たされた、得がたい体験でした。

40章 お礼と謝罪

そして最終決戦へ。

ガリル、アーシュラ、レンツォ、バルバローザ、イグナスを最後の戦場へ送り出します。

最終決戦で、それぞれの戦う理由がわかります。
夜鴉の4人とイグナスの理由は、自分自身の望みに誠実で、その分納得できるものでした。
最終決戦の相手は、追い詰めると感情をむき出しにしてきます。ものすごく人間くさい。
今まで諸々許しがたいことをしたり言ったりしてきたので、ガリルたちに怒りを託してぶつけてもらいましたが、終わってみると寂しいヤツだったのかな……と、少し切なくなったり。

最後の戦いの後には、勝利を祝い、皆で喜びを分かち合います。
にぎやかな席には、今まで支えてくれた仲間たち。
あれこれ思い出に浸りながら、ユキハ姫とジュウザに話しかけると、世界を守ったはずでしたが、その結果、厄介な問題が起こることがわかります。
こういった苦い要素は、世界観を深くしてくれると思うので個人的に大好きです。明るいだけの世界は説得力が感じられなくて好きになれませんし、世の中うまくいくことばかりではないですからね。
厄介な問題を抱えつつも、それでも希望のありそうな未来に安心しました。

やがて、楽しい時間には終わりがやってきます。

今後はそれぞれの世界で、それぞれの道を行くことになりますが、ガリルたちは連絡を取り合ったり、どこかで時間を作り、お互いの世界を行き来したりするのでしょう。

分断された世界を旅していくうちに、少しずつ、でも確かに紡がれたきずなは、きっと切れない。

そうだよね、ガリル。

ねえガリル、今まで意固地なくらいにあなたを先頭にしてきました。プレイ開始時の直感に従っただけなのですが、とても良かったと思っています。
あなたはどんな時でも、私が言いたいことを言ってくれた。やりたいことをやろうとしてくれた。
あなたが段々頼もしく成長していく姿は、本当にまぶしかった。
白嶺城であの時とは違うところを見せてやる!と、あのグロッサにタンカを切った時は感動しましたよ。リーダーになってからは、大事な所で、確固たる言葉で空気を引き締め、皆を引っ張ってくれましたね。

アーシュラ、あなたの印術が無ければここまでこられませんでした。
本当にありがとう。
《形見の短剣》は、可能なかぎり装備させて、最終決戦でもしつこく持たせたけれど、印術用としか使わなかったですね。ファイナルストライクで壊したのも、一度きりでした。まどろっこしかったでしょうか?
でも、貴重な古万象器をどんどんファイナルストライクで壊しても、《形見の短剣》だけは、簡単に傷つけたり壊したりする気にはなれませんでした。

レンツォ、最後の戦いで、戦う理由を教えてくれましたね。その時にあなたが「興味はない」とばっさり切ったものは、私は当然「あなたの戦う理由に含まれているもの」だと、思い込んでいたので、最初は驚きましたよ。フォース・ギアを壊したりする中で、戦うことに疑問を感じたこともあったのでしょうか?
でも、迷いも見せずに戦い抜いてくれてありがとう。
先読みの力、理解の早さ、フォース・ギアや人魔大戦についてビビアンが語ったときに他人事だと気付くような、物事の本質を見抜く鋭さを見せてくれて。
そのたびに、頼もしさがぐんぐん上がっていきました。
初登場の時は、口笛吹きながら、街をプラプラ歩いていそうな、軟派で軽くてゆるい兄ちゃん、とか思いました。ごめん。

バルバローザ、経験に裏打ちされたあなたの示唆に富んだ言葉は、迷ったときなどに思い出しています。
道を進む者は、踏み出す足の左右を迷いはしない。
この言葉には、何度となく背中を押してもらいました。
ギルドタワーを建ててくれてありがとう。
HPも腕力も高く、斧でばっさばっさと敵を片付けるあなたには、本当にお世話になりました。初めてパーティに入ってくれたとき、飛び上がりたくなるほどにうれしかったのを覚えています。
懐が深くて真面目で尊敬できるだけではなくて、茶目っけもあるあなたが大好きです。

ビビアン、あなたは魔族において重い立場であるエスメロード家の令嬢としても、本当に立派でしたね。
当初は好奇心だけで魔界から「アルシュタイン教授」に会いに行った、と私は解釈していましたが、実は最初から深い思惑があったのだと、今ではそう思っています。
人間に興味を持ちつつも、ちゃんと魔族の事も考えていて、良く笑顔を見せてくれるけれど、宴でも敵の前でも理性的で……そのバランス感覚は、やはり長く生きていうちに培われたものなのでしょうか?
フォース・ギアを壊し、魔族と戦うことは、ほとんど口にださなかったけれど辛かったと思います。
そしてどんな時でも、姿だけでなく物腰から言うことすべて品にがあってきれいなあなたは、私の心のオアシスです。
ありがとう。
スイーツとたこ焼きは食べられましたか?
思えばせっかくの人間の世界なのに、私の選択する戦闘方法は、ランチもおやつもロクに味わえない、おもちゃも使わない、味気のないものばかりでしたね。次からは、もう少しあなたに面白がってもらえそうな戦闘も試したいと思います。

イグナス、段々人間を好きになってくれて、本当にうれしいです。
魔族らしい魔族で秩序を重んじるあなたも、魔族と戦うのは辛かったことでしょう。
忠実だけれど、ビビアンの言うことに無条件で従うわけではないあなたは、途中何度もガリルたちと行動を共にするのはやめて、ビビアンを連れて魔界へ帰ろうとしたのではないでしょうか?
もしかしたら、進言するたびに、ビビアンにスマートかつエレガントに丸め込まれていただけなのかもしれませんが……。
最終決戦まで戦い抜いてくれて、ありがとう。

ティギーの毒舌は、物事の本質を捉えていて、痛快でした。
荒い口調の後ろに愛が見え隠れする瞬間が、たまらなく大好きです。
メキップをスカウトしたときの言葉が忘れられません。
方舟で世界中を巡れたのは、あなたのおかげ。
……舟の名前、あなたの推してきたスワン関連をことごとく却下してごめんなさい。
次はハッピースワン号にしますので。
本当にありがとう。

ジーン、正直、色々ひどい疑いをかけました。
本当にごめんなさい。
真意が見えないと思っていたけれど、終わってみれば、あなたの言ったことを深読み裏読みし過ぎていました。本当に大切なことは、原則的に正直に言って、例外は真逆のことを言っていただけですよね?
自分語りだけは、今でも額面通り受け取れませんが。
「あなたが良いことを言うたびに、心の底から信じることができずにいた少し前の自分」に会えたとしたら、とりあえず小1時間説教したい。
あなたの人となりも誤解していたようです。
策を巡らす、嘘をつくのは得意なだけで好きではない、実は当たり前のことを当たり前にやりたい人なのかもしれませんね。
地下水道でレイチェルを止めずにいてくれてありがとう。

レイチェル、地下水道で夜鴉の4人を助けてくれてありがとう。
あの時は、逃げなければいけなかったけれど、悔しくて「逃げたくない」と思ってしまった。
そんな時にあなたがくれた言葉は、本当に大切なことを伝えてくれました。
徹底的に逃げなきゃいけないときもありますよね。
そういえば、スヴァルナでジーンを護衛した報酬はもらえたのでしょうか?
仕事中に、仕事と関係なく、妖魔に絡まれていた2人を助けるために「妖魔たちを止める」選択をした結果、面倒なことになりました。ですから、魔族に支配されていた印術ギルドの立場なら、報酬を払えない可能性もあったのではないかと。
あなたは、もらえなかったとしても決して後悔する人ではない、そう信じています。それでも、「あなたを面倒な選択に向かわせる最後のひと押し」をしたのは私自身だと思いたいので。もらえていなかったら申し訳ないです。
図々しい考えかもしれませんが。
妖魔たちを「止めよう」と言ってくれて、止めてくれてありがとう。

黙って立っていればかわいいのに、口調が大仰で、食い道楽で、戦うと何故か強いロビンスが大好きです。白嶺城でグロッサを撃退できたのもきっとあなたのおかげ。
ありがとう。
イグニッション突入時の滅せよ!!が最高に物騒格好良いと思います。
アデリーとジェンツーとマカロニとケープと末永くお幸せに。

シキ、投げやりになっていたけれど、人生をちゃんと考え直してくれてうれしいです。
白嶺城から無理やり引っ張り出してしまったような気もしますが、最後、別れ際に言ってくれた言葉に救われました。
白嶺城の居酒屋で話しかけたとき、信じるものを聞いてきましたよね。あなたにとっては、仲間は信じるに値する存在となれたのでしょうか?
……そうであるように願っています。
雪の世界は大変になるでしょうが、あなたがいればきっと無事に問題を乗り越えられるでしょう。

マチルダ、方舟を凍結されたときに、竜探しの手伝いをしてくれてありがとう。
あなたの気配りは、飢えた人に魚を与えるのではなくて、魚の釣り方を教えるがごとく。
レインボーピラーへ向かう前、援軍に駆けつけてくれたときは胸が熱くなりました。
望んでのこととはいえ、星教主の下でドラゴンガード・シーカーの役目を果たすのは、なかなか大変ではないでしょうか?
あなたなら大丈夫だと思いますが、無理をしそうなので少しだけ気になります。
愚痴を言いたくなったら、一緒に旅した彼らに会いに行って気晴らしをしてくれたら良いな。

終章 まとめ

旅を終えた後、それぞれの世界に散らばった皆を見届け、最後の曲、「アライアンス・アライブ」を聴き終え、浮かび上がるようなタイトルロゴの中心が輝き……世界をつなぐ物語は、幕を閉じました。

この作品の、血が通った登場人物たちの言葉と行動、配慮が行き届いたシステムに、カバンの中身まで想像できるキャクターデザイン、薫り高い背景、色鮮やかな効果音、心地良くて、懐かしいような気もするけれど、聴くたびに新しい感動がある音楽は、仕込まれたプログラムの結果であるにもかかわらず、手触りが暖かいと感じられました。

基本的に柔らかく丸い作りですが、随所で放たれるとがった闇の要素が、それらの基本要素を際立たせて。見る角度を変えると違った輝きを見せてくれる。

ふつうのRPG? もしかして無難にまとめたRPG?
と思ってフタを開けてみると、基本に忠実でありながら放つ色はまぶしく強く。
全くもって無難ではありませんでした。

物語の始まりで私が抱いた1つの小さな願いは、章が進むたびに私の中に深く根を張り……世界を巡った果てに始まりの場所で見えた景色は、あまりにも優しく暖かく、うれしいご褒美でした。
世界を守り、つないだからこそ見えた景色ではあったのだけれども、その大きな仕事を成し遂げた喜びよりも、物語の始めから抱き続けた小さな願いをかなえてもらった喜びのほうが大きかった、と言ったら不謹慎でしょうか。

雨の世界の片隅で始まった物語は、仲間とともに悲喜こもごもの体験を重ねていくうちに、気がつけば心の底から愛おしい作品になっていました。

アライアンス・アライブという作品を彩ってくれた登場人物たち、つくりあげ、世に出すために携わって下さった全ての方たち、このブログを読んで下さった方たち、皆様本当にありがとうございます。

クリアまでのプレイ時間
83:27

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※2017/10/16:誤字修正

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